「漱石文化」の遺産

 だが私は夏目漱石論をやろうとするのではない。現代乃至最近の日本の文化的相貌の内に、云わば「漱石文化」の遺産や発達をさえ見出すことが出来る、ということが、指摘したいのである。而もこの現代漱石文化なるものは決して単純な意味での文学の世界に限られないことも、前に云ったことから当然だ。文化全般に於ける漱石...

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現代に於ける「漱石文化」

[#1字下げ][#中見出し]20[#「20」は縦中横] 現代に於ける「漱石文化」[#中見出し終わり]

[#3字下げ]一[#「一」は小見出し]

 今日の吾々から見て、漱石の有っている意義は、勿論第一には大正期の代表的な作家[#「作家」に傍点]としてである。それがどういう作家であったか、所謂低回趣味...

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文化的自由主義や文化主義

 処で私の見る処では、一般に文化的自由主義や文化主義、つまり解釈主義や解釈の哲学のことにもなるが、そうしたものは、その思想内容そのものから見る限り、大体、中庸で凡庸なものなのである。尤もそう云ってもそういう思想を持っている人間そのものが中庸的で凡庸だということにはならぬ。少なくともそういう思想を自分...

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