学生時代から有名な秀才

 三木は学生時代から有名な秀才であった。一種の学生名士でさえあった。尤も決して律気な又は細心な勉強家ではなかった。彼は一党を引き具して四条通りを遊弋し、深更下宿に帰ることを習慣とした。一党の方はそのまま寝て了うのだが三木だけはそれから本を読むのである。おかげで一党の方は一向学業が成就しない。三木は主...

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独創家でない

 彼が優れた独創家でない、ということは或いは当っているかも知れない。無から何かを創り出すというような意味での独創家ではない。彼が唱え出すものは、すでにそこに現われているものに限る。或いは彼は好んで既に与えられたものを巧妙に活用し利用する。だから彼の思想の内容は実はいつも既に知られたものであって、彼に...

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三木清は豹変の術に長けているように見える

 さてこういうように、全く色々の意味で三木清は私の先輩に当っている。三木と私との関係は私が今日感じているよりももっと深いものがある、と云った方がいいかも知れないと思う。そしてこのことは必ずしも彼と私とが似た本質の者だということにならぬ。この点もまた大切なのだ。彼と私とが、哲学をやって評論をやるという...

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